【哲学】【読書】『哲学入門』著:戸田山和久 ちくま文庫

『哲学入門』著:戸田山和久 ちくま文庫

哲学入門 (ちくま新書)

哲学入門 (ちくま新書)

 

 

 ずーっと仕事ばかりで、精神的にも体力的にもしんどくなってきました。
 読書、学ぶこと、考えること自体が趣味だったはずなのに、できなくなっていた。
 何をしていても仕事に関係する心配事で頭が一杯で、さらに人生の先行きもそろそろ考えなければならないという、妙な感覚がプレッシャーとしてあったのかもしれません。この能天気な私の頭の片隅にも。

 そこで、久々に体を本屋にもっていきました。それで、興味をひかれ手にとったのがこの一冊。

 入門書というと複数の哲学者が提唱した概念をザッと並べ立てているものが多いけれど、それらは全く「哲学」ではなく、「哲学歴史学」(しかも、化石が含まれている)の本でしかない。
 しかし、さくっと目次をなめてみたところ、この本は本来の意味での哲学入門と言ってもよい内容だったのがポイントでした。

 それに、著者の戸田山さんは、確か「科学哲学」の人だったよなー、と、ぼんやりと思い。
 学生時代、自然科学を学んでいたけれども、「科学」という方法論への懐疑から抜け出せなかった物わかりの悪い私は、「科学哲学」の専門書を何冊か読みました。

 そこで、自分が納得できる回答を一応は見つけられたのですが(歳を経て、実感として「なるほどなー」と)、それでもまだまだ得心できない部分もあるため、久々にこの辺りのことを考えたいな、と思ったのも理由です。


著者の試みはおもしろそー

 そういうわけで、ただいまこちらの本を読んでいるところ。

 私は人間が好きで、人間の存在について、とても好意的に見ています。
 人間は、基本的に良い存在で、道徳的で、生きるに値する存在だと思います。
 つまり、「みんな良い人だよねー。だから、幸せになって欲しいよねー。幸せになってくれたら、ちょー嬉しい!」と割と素で思っている、あほです。
 だから、「人を手段としてではなく、目的として扱う」という信念を、複雑で恐ろしいナマの社会の中で未だに諦められず、なんとかしたいと考えているぐらいです。
 そういう理由から、人間存在に直接的に関わる「自由」や「道徳」、「(人生の)意味」という問題によく惹かれます。

 著者は、この本では「モノでできあがっている世界に、存在もどき(概念)をいかにして書き込むか」という問題に挑戦しています。
 私は唯物論と唯心論の中間地点に立っている人間なので(人間の認知機構には限界があるし、かといってモノだけで全て説明することもできないし、そもそも無味乾燥で世界の彩りが無くなるし受けつけられない、みたいな)、モノの世界に立ちながらそれでも抽象的な概念(たとえば、人生の意味とか)を肯定しようとする著者の試みは大変おもしろい。

 結論はどこに着地するのかなー。そもそも結論なんてでるのかなー。

 いや、楽しみです。